【研修ログ】自分の教育観を言語化する

自分が実施した研修やセミナーのログをとることにしました。
多分慣れるまで言語化が下手なので、完全なるメモみたいだが。

2015年2月7日

教員になりたい方々向けの研修を実施。受講者8名。

いつもは1人で研修をするけれど、今回は最近もっぱら私のメンターとなりつつある小6Rも参戦。

リフレクションを意識した研修設計。

【前半→「理想の教育」を言語化するワーク】
事前にどうしてその言語化の作業が必要かお伝えする。見通しがたたなかったり、目的がわからないとつらい人もいるから。
普段なんとなく思っていることをアウトプットすることで、自分の判断軸にawareになる。unawareをawareに。無意識を意識的に言語化する。
自分にとって本当に大切なことってなんだろう?向き合う。


でもはじめから「あなたにとっての理想の教育は?」と言われるのはちょっとしんどい人もいる。

なので、まずは
「今まであなたが受けてきた授業で印象に残っている/よかったと感じた授業を思い出してください」
そのエピソードをペアで共有。

その後個々でその授業がよかった理由、その授業を「良い」と判断した要素を付箋にできるだけたくさん書いてもらう。

それを次はグループでシェアしながらカテゴライズできたらしてみる。
今回出てきたカテゴリーは「教師の人間性」「教育方法・授業スタイル」「環境」
そして面白いと思ったのが、「自分」というカテゴリー。
「よかった授業は、自分が知りたいと思った」「できるようになりたいと思った」

その後グループでシェア。
他の人との共通項や違う点を話す。ある人にとって「良い」授業はある人にとっては分かりにくい授業、つまらない授業だったりすることに気づく。

次はこのワーク踏まえた上で「自分にとっての理想の教育」を一文、2-3分だけ時間をとり考える。そして発表。

メッセージは
・一人ひとり理想の教育の状態は異なる
・実践の裏には必ずこの理想が隠れている。
・その理想は今までの経験から導き出されているから、一人ひとり異なる。
・つまり、経験が増えたり変わったりすれば、理想もかわるかも?

ここまでで一時間半ほど。休憩10分。

【後半→そんな自分の理想と実践を結びつけるリフレクションワーク】

まずはある事例に対して何をして問題として捉えるか、ペアワーク、全体シェア。

そこから先生の思いと子どもの思いが不一致していることに焦点をあてる。

小文字の理論として
・個人攻撃の罠にはまると問題解決に向かえない
・困難な状況は個と環境の相互作用の中でおきる
・コルトハーヘン氏の氷山モデル(Doing Thinking Feeling Wanting)
を、紹介・説明。

8つの問い
(教師のDoing Thinking Feeling Wantingと子どものDoing Thinking Feeling Wanting)
を視点として使い、不一致が起きていることを共通理解する。

その後、自分が子どもと接する中で「うまくいった」経験を思い出して、8つの問いを使ってリフレクションするワーク。

(次回は「うまくいかなかった」経験のリフレクションの予定)

感想と課題
・参加者の方が「今まで行ったことのあるワークショップや研修ははじめから「理想の教育は?」と聞かれてつらかったけど、今回はスッと出てきた」とのご感想をいただく。
はじめから抽象的なことを問うのではなく、自分が受けた教育で良かった経験を言語化→要素に分解→上位概念・抽象的に集約 するやり方は理想を導きやすい。
あとこうした意図としては、自分の理想の背景には経験があること、同じように他の人の理想の背景には経験があることを伝えたかったというのもある。

・先生の思いと子どもの思いに不一致がある事例は思ったより受講者の方々の学びのニーズを引き出していた。
そこに学びのニーズが生まれた背景には、小6Rがその場にいたのが大きい。
Rは思いが強すぎて空回りしている先生について「放っておいてほしい」と。
受講者の方は「でもそれは『先生』としてできない」と。
「先生としてのアイデンティティー」を言語化するのも楽しそう。
次回は不一致をリフレクションする中で、自分の理想と「教師たるものこうあるべき」といったアイデンティティーとの不一致にも触れたい。

・最後の自分がうまくいった経験のリフレクションワークは、ちょっと難しかった。そもそも何を成功体験として何を失敗体験とするのか、の選定が難しかった様子。ここは受講者のニーズをその場でキャッチできなくておおいに反省。次回はもっと例をつかったり、ペアワークをいれよう。
あとはその場でロールプレイをして、そのロールプレイの中での成功体験とうまくいかなかったことをリフレクションするのもやりたい。

・一方でそんなフィードバックをチェックアウト時に受講者の方々が伝えてくださったのは安全安心をつくれたからかな。かつ、それが「気づきに繋がった」ことはそれで良かったかもしれない。受講者の方、「いままでこなすだけで成功だった、失敗した、などと振り返ることがなかったことに気づいた」と言ってくださった。


今現在学校に通っていないRがこの場にいて、かつ積極的に意見をバンバン言ってくれたことで議論が深まる場面がいくつかあった。なかなか「学校」という場では対等な立場として議論がしにくい。Rのように学校で「当たり前」とされていることに対しその意義を問う子どもがいた時どうするか。おそらく多くの人にとって「想定外」である言動や行動をする子どもの存在は、潜在的な学びのニーズを引き出し、教師の成長機会となる。

途中休憩中にRが今たくさんの子どもがハマっているマインクラフトのプレゼンをしてくれたのも新鮮だった。

同じメンバーであと一回研修をする。
次回はもっと受講者の潜在的な学びのニーズを引き出しながら、わたしは自分の「欲」を手放し、受講者が自身の学びのコントロールをとれるように仕掛けたい。


▼講師Rによるマインクラフトのプレゼン



コメント