自分の理想にどこまでコミットするか。

以前、「本物のプロは自分の中の理想と現実の矛盾や不一致を自覚して、それを突破していく人だ」と書いた。
コルトハーヘン氏はそれを突破するために自分の「強み」を使うと教えてくれた。

つまり、プロを育てるためには少なくとも
1. その人の理想を明らかにする
2. 実際の経験を振り返り言語化する
3. 自分の理想と行動やスキルの矛盾や不一致を自覚する
4. 自分の強みを認識する
そして、
5. 強みを使って突破する

これらをコーチングしていく必要がある。

あたしはここ何年か対オトナの教育、プロの育成に携わってきたが、
上記の考え方をもって以来、接する人にその人の理想をまずは聞くようになった。

その仕事を通して何を成し遂げたいの?
自分の理想とする「専門家像」は?

それをまずは言語化してもらう。
そしてあくまでも私はみなさんがご自身の理想を達成するためのサポーターです、と伝える。自分の理想にコミットしてください、と伝える。
私の思い通りに育って欲しいわけじゃない。
私はあくまでもサポーター。
学び手はみなさんだから、私が良いサポーターじゃなければ、それを私に伝えるのはみなさんの責任です。
そんな風に。

これができると、環境に左右されずに理想に向かうプロになる。

「教育」とは教育をする側の理想を叶えることではなく、教育を受ける側が理想の実現やよりよく生きるためのもの。
対オトナだって一緒。

「あなたはどんな風になりたいですか?」
「あなたの理想はなんですか?」
「あなたはどんな時に幸せと感じますか?」

「べつに仕事だからやっているんです」って人は教育じゃない仕事についたほうがいい。そんな人は教育者になるべきじゃない。私はそう思う。


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こんな話を最近いろいろなところでしているが、
「理想を明確にもっていない人はどうしたらいい?」
と聞かれる。
狭い世界から連れ出して、多様な機会を提供した方が良いのかな?など。

それもステキだと思う。
でも前提として、その人の自己肯定感が高い必要がある。失敗体験や「自分が狭い世界にいる」ということを受け入れられるだけのキャパがないと、多様な機会は辛い。

自己肯定感が高くて、理想がないって人は多様な経験をしてもらい、仕事をしていて「楽しい!」「やりがいがある!」と感じたときのことをリフレクションすることをオススメする。
「楽しい!」「これいい!」って状態は「理想」に近い状態だから、理想を言語化するヒントになる。


子どももそうだね。
「楽しい!」「もっとやりたい!」と目がキラキラしている時をキャッチすることで、その子がどんな時に幸せを感じるのかを知ることができる。

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特にオトナの職場の場合、能力やスキルだけでその人を評価しがち。
でも一番大切なのは、その人が自分の理想を実現できる職場かどうかってこと。
その人の理想と職場の理想がマッチしていれば、スキルや能力なんて育成する側次第。

だからあたしはスキルや能力でその人をあまりみない。
その人の理想は職場で実現できるか?のマッチングと、
その人が自分の理想にどこまでコミットしているか、で見たい。


理想にコミットしているのであれば、いくらだってサポートできる人になりたいな。

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